職場における“トラブル”には様々なものがあります。その中でもやはり特に問題なのは、従業員との“トラブル”。従業員の業務命令違反・問題行動・不正・ハラスメント等の発生、従業員による労基署への申立、個別労働紛争のあっせんの申立、組合からの団体交渉申入、労働審判、訴訟等。どれも発生することを予め想定して常日頃からそれらに準備しているケースはほとんどないため、争いになっているケースなら慌てて相手のペースに乗ってしまったり、過剰な社内処分を科したり、または検証も行わないままに無視したり、誤った行動に出て余計に問題を大きくしてしまうことが少なくありません。もちろん内容によってはある程度の損害は受け入れなければならないかも知れませんが、初動によっては大きく最終着地点が異なってくるものばかりです。
トラブル対応の方法については、ネット上などでも色々な情報が載っております。それらは必ずしも正しい情報とは限らず、また正しかったとしてもあくまで典型的な例を挙げているに過ぎなく、労働問題についてはその背景であるとか業種・人物等が個別に異なっているため、日頃から労働問題に接している者以外が適切な判断をすることは難しいと思われます。
トラブルが発生したら速やかにご相談ください。各ケースの問題点を分析した上で適切な対応を判断し、ケースによっては労働問題に精通した弁護士の紹介・引き継ぎをいたします。
トラブル対応業務内容一覧
問題社員への社内での対応
解雇権・懲戒権の濫用
勤務態度が不良、他の従業員・顧客とトラブルを頻繁に起こす、明らかな能力不足等、問題のある社員について安易に解雇する事業所が少なくありません。解雇その他懲戒処分について、労働契約法に「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と示されており、ハードルは高くいくつもの基準を満たさなければ無効とされてしまいます。基準に関する専門的知識と感情的なものを抑えた冷静な判断が必要です。
執行する前に充分な検証を
解雇その他懲戒処分等についてそれが妥当なものか充分な検証を行わないまま、執行してしまった後に従業員との間でトラブルになってから相談される場合がよくあります。執行してからでは当然にその事実は動かないので、無効と判定される場合には一定以上の損害は避けられなくなってしまいます。適正に就業規則上の処分等を執行し、不要な損害を発生させないために、労働問題の専門家には事前に相談されることお勧めします。
放置しておく訳にはいかない
トラブルを恐れるあまり、就業規則に定められている事項に合致するにもかかわらず処分等を行わず放置しておくと、同様の問題が発生した場合に処分が行えなくなり、当然に他の従業員からの不満が大きくなりモチベーションに影響を与え、職場全体としての生産性の低下へとつながります。また、就業規則が有名無実なものとなり、職場の秩序を保てなくなる危険性も高まります。
個別労働紛争のあっせん
労働関係について個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働紛争」という)、例えば解雇・雇止めなどの労働条件に関する紛争やいじめ・嫌がらせなどの職場環境に関する紛争などが増加しております。しかし、裁判となると費用も時間も多くかかることから、個別労働紛争を解決する方法として「あっせん」の活用が増えてきております。
「あっせん」とは、裁判によらない解決手段としてのADR(裁判外紛争解決手続)、当事者同士の話し合いにより解決を目指す制度です。
あっせんにかかる業務については、特定社会保険労務士が行うことができるとなっております。ただ、あっせんの制度がまだそれほど知られていなかったことから、特定社会保険労務士であっても実際に関わって、その場に立ち会ったことのない方が多く居られます。あっせんは参加・不参加を選ぶことができますが、参加してできるだけ話し合いで解決した方が良いケースが多くあります。あっせん開始通知が届いてからの回答期限もありますので、「あっせん」への対応は実績のある特定社会保険労務士に早くご依頼されることをお勧めします。当事務所は、制度の説明、経緯の聴取、答弁書の作成、当日の立ち会いまで対応させていただいております。
労働組合との団体交渉・訴訟について
特に労働組合からの団体交渉の申入については注意が必要です。突然の書面にて団体交渉申入書が送られてくることになりますが、必ずしも相手方が指定してきた日時・場所等をそのまま受け入れなければならないというものではありません。誤った判断をしてしまう前に、速やかに労働問題の専門家に相談することが大切です。当事務所では、対応についてのアドバイスを行うことはできますが、会社の代理人として交渉できるのは弁護士に限られますので、労働問題に精通した労働組合との交渉経験が豊富な弁護士のご紹介・引き継ぎをさせていただきます。
昨今、労働問題を扱っているという弁護士は非常に増えておりますが、実際に労働問題にどれだけ精通しているか実績があるかは会社の事業主の皆様にはなかなか分からないところです。労働問題を専門に扱っている特定社会保険労務士として多くの弁護士とお話させていただいている立場から見て、その実力差には相当な違いがあると言わざるを得ません。労働組合との団体交渉だけでなく、労働審判、訴訟についてもその実力差が最終の着地点(会社としての負う損害の大小)にそのまま影響してまいります。真に労働問題に精通した弁護士選びについてもぜひご相談ください。